今日読んだ本10 『脱資本主義宣言』
堅そうなタイトルで若干構えていたけれど、読んでみたらそうでもなかった。
あくまでこの本はタイトル通り、「脱」資本主義を提唱するものであって、「反」資本主義ではない。
だから共産主義万歳!とか極端な内容ではないので安心して読めると思う。
個人的な意見として、昨今の日本には経済至上主義的な考え方というか圧力が蔓延していて、時折妙に息苦しさを感じることがある。
より早く、より便利に、より正確に、がまるで金科玉条のように掲げられ、その中で疲弊しきり、中には精神を病んでしまう人も出てくるだろう。
身近な例でいうと、24時間営業のコンビニだったり、Amazonの当日配達などであろうか。
確かに便利なんだけれども、どうしてもそれが必要かと言われれば別にそうでもない。
消費者側の少しの工夫や辛抱(と言ってもほんの僅か)でどうにでもなる問題だろう。
利便性が増しているのに価格が変化していない、もしくは下がっているということは、どこかにそのしわ寄せが行っているということなんじゃないかと。
この本ではその辺りのことをもっと大きなスケールで、かつ詳細なデータを引用しながら説明してくれている。
これまで何気なく買っていたもの、例えば缶コーヒーや衣服など、が自分の手に届くまでにどれほど多くの犠牲と搾取(というと語弊があるかもしれないが)の上に成り立っているのかを感じ取ることが出来ると思う。
そしてまた、それらをいかに大量に廃棄しているのか、も。
確かに、そんなことをいちいち気に掛けていたら日本経済が失速する、とか、誰だって便利で安価なほうがいいじゃないか、という考えも分かる。実際自分もそう思う。
でも、やっぱり資源は無限じゃないし、日本は今後生産人口が減っていくことを考えれば、その辺のことは皆がそろそろ真剣に向き合わなければならないのではないだろうか。
と、まあそんなことを考えさせてくれる一冊だった。
ただ、「脱」資本主義するための方法には言及されていたが、脱した先の未来のことについてはあまり具体的ではなかったように思う。
だが、それに近づくためのヒントは得られたと感じた。