今日読んだ本14 『さよならインターネット』
多くの気づきを与えてくれる良書だった。
さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560)
- 作者: 家入一真
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/08/08
- メディア: 新書
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インターネット黎明期からWeb2.0を経て現在に至るまでの20年間の歴史に懐かしさを感じた。
思えば自分も10代の頃、毎日悩んでいた時にインターネットによって救われた一人であり、その時からこれまでの半生は毎日のようにネットと共に過ごしてきたと言っても過言ではないだろう。もう今ではネットなしの生活など考えられない。ガスや電気、水と同じく完全に生活インフラの一部と化している。
しかし、最近ではもうそれも供給過多な感じがしてならない。
家入さんも言うように、確かにネットが世に出てきた頃はこんなに便利で未知でワクワクするものはないと感じたが、今日ではもう皆が皆ブログやTwitter、Facebookなどで情報発信を行っていて、初期の頃のような新鮮味は確実に薄れているように思う。
皆似たり寄ったりの意見を言っていたり、中には注意を引くためにわざと過激な発言や奇を衒った動画投稿をしたりしていて、もう自分としてはあまり面白いと思えなくなってきてしまった。
おまけにネットの中では常に誰かに監視されている気分で、実際何かちょっとでも不適切な書き込みや生意気な発言をしたりするとすぐに叩かれ、炎上し、ひどい時には現実の住所やプライバシーまで暴かれてしまう。正直、ちょっと怖いなと思う。
この本では、ITの最前線で活躍してきた家入さんだからこそ、そのようなネットのネガティブな面に対して人一倍真剣に向き合う姿勢が見て取れる。そして、それについての彼の思うところが書かれている。個人的には最後の方で、これからのインターネットとの付き合い方や、さらにその先の「エクスターネット」などの概念が面白かった。
昨今のネットに少々飽きてきた今だからこそ読んでよかったと思える一冊だった。